Unityをインストールしたのは確か2021年の年末だ。知識ゼロから始めて約2年が経った今、脱出ゲームを8つ完成させ、このサイトを立ち上げることも出来た。自分がここまでやるとは正直思ってなかった。
2年も経つとそろそろ飽きてきたり自分のセンスのなさが嫌になったりする頃なので、初心を忘れないためにもこれまで作ったゲームについてダラダラ思い出を書いておこうと思う。
初めて作ったオリジナルゲームは「筋肉ルーレット」
Unityの入門書を一通り終えてオリジナルゲームを自力で作ることにした。そこで作ったのが筋肉ルーレットだ。そう、なかやまきんに君のアレだ。何故あれを作ろうと思ったのかは思い出せないが、作ったものを友人に見せたらウケるだろうなとワクワクしながら作った記憶がある。
このゲームは2択で迷った時に筋肉ルーレットで決めてもらうというスマホアプリだ。
左右の胸筋にあるInputFieldにそれぞれ文字入力し、スタートボタンを押すと「どっちなんだい?!」と言って文字がぴくぴく動き出し、一定時間後ランダムで片方が選ばれるという仕様だ。
きんに君の画像や音声もどっかから探して勝手に使うという強いこだわりもあった。もちろん一般公開はできないが、なかなか面白いアプリだったと思う。
結局、友人に見せるのは恥ずかしくてお蔵入りした。けど、初めてワクワクしながら作った記念すべきゲームだ。
unityroomとの出会い
unityroomは誰でも自由にUnityで制作したゲームを投稿したり遊んだり出来るサイトだ。無料で審査もなく自分のゲームを誰かに遊んでもらえる場所があることをTwitterで知って、勇気を出して飛び込んでみた。
初めて投稿したゲームは「無限神経衰弱」というミニゲームだった。
カードが揃ったら消えてそのスペースに上のカードが落ちてくるというゲームだ。時間制限モードと回数制限モードを実装し、初心者のくせに無謀にもランキング機能をつけたりもした。
unityroomでは、unity1weekというコンテストが定期開催される。初心者大歓迎というお言葉を受けて私も挑戦することにした。上記のゲームはその予行演習も兼ねて昔のお題で投稿したものだ。
その後もunity1weekには出来るだけ参加し、作ったことのないジャンルのゲームを作るようにしている。
このイベントではたくさんの人が一斉にゲームを投稿するので自分のつまらないゲームが遊んでもらえる確率は低い。しかし私はゲームを作ること自体が楽しくて、投稿した後は割とどうでも良くなるタイプらしい。一週間で完成させることを目標に(いつも間に合わないが)、ゲーム制作に没頭するのが私は今のところとても楽しいのだ。
unityroomを運営し、ゲームジャムを定期開催してくれている方にはめちゃくちゃ感謝している。
初めて作った脱出ゲームがちょっとバズった
もともとゲーム制作を始めた時点で脱出ゲームを作る事は決めていたので常にアイデアは考えていた。
ある日、スマホアプリの脱出ゲームを色々遊んでいたら、画面切り替えなしで1画面だけで完結するというゲームに出会い感動した。私も画面切り替えなしのシンプルな脱出ゲームを作ってみようと思いついたのが「テレビの中からの脱出」だ。
女幽霊がテレビから脱出するのを手伝ってあげるという内容だ。画面切り替えはないが、テレビのチャンネルをたくさん切り替えるので全然シンプルではなくなってしまった。
でもこのテレビ番組を考えるのが超絶楽しくて!私はパロディが大好きで、そのネタをどう脱出ゲームの謎に落とし込むかを一生懸命考えた。いまだに面白さではこれに勝るものを作れていないと思う。
しかし技術的にはかなり未熟で、テレビ画面の切り替えするのにテクスチャを変えるという発想がなかったので紙芝居みたいに平面オブジェクトの位置を入れ替えるなんて事をしてたりするし、ゲーム内ゲームのアクション速度をフレーム時間で計算してないせいでプレイ環境によって動作が無茶苦茶になったり、他にもバグ満載だ。
しかしこのゲーム、有名なYouTuberの方が実況したのをきっかけにプチバズってしまったのだ。
バグ満載のゲームが何十万人の人の目に晒されてしまった。視聴中ずっと手汗掻いて胃が痛かったのを覚えている。
でも実況者の方々も視聴者の方々も面白いと言ってくれたのだ。私が無駄に仕込んだ細かいネタも気づいてくれた人がいるのだ。こんなに嬉しかったことはない。この出来事は今でも私のゲーム制作の活力になっている。
3D脱出ゲームは難しい!
次に作った脱出ゲームは「やんちゃ犬の脱出」
クリックしたところに子犬が反応してアクションを起こすゲームだ。また初心者のくせにシンプルな脱出ゲームを作ろうとはしなかった。
最初に作った脱出ゲームと違って方向転換や部屋移動もあり、部屋全体を作り込んでライティングやカメラワークを考えなければいけない。プログラムもアニメーションも複雑になった。
特にライティングはネットで検索した方法でやってみても上手くいかず、そもそもblenderで何も考えずマテリアルを使いまくってたせいでベイクデータが激重でビルドできなかったりした(結局ベイクは諦めた)。
それでもゲームを完成させ公開した根性は我ながらすごいと思う。
この後、世にあふれる脱出ゲームは3Dの写真を使った2Dゲームなんだと言う事に気付き2D脱出をメインに作るようになる。しかし約半年後、もう一度チャレンジしてみようと3D脱出ゲームを作ってみた。
人体モデリングとリギングをちゃんと勉強して、blenderで作ったアニメーションをUnityにインポートした(先ほどの犬のゲームはUnity内のアニメーションで各関節を動かすというかなりめんどくさい事をしてた)。複数のキャラとアニメーションを1つのblenderデータに入れたせいでUnityエディタが強制終了するという不具合もあったが、自力で問題を見つけ解決できたのは偉かったと思う。
ただ、もう3D脱出ゲームは作らないと心に決めたのであった。
色々詰め込みすぎた長編脱出ゲーム
初めて作った2D脱出ゲームは3ステージ構成の長編脱出ゲームだ。相変わらずシンプルなものは作ろうとしない。
blenderで作った部屋の写真を使用するので、オブジェクトもマテリアルも使い放題という事に気づき、ステージを追うごとに部屋の作り込みがすごくなっている。blenderの腕も上がっているので1ステージと3ステージがまるで別作品のようだ。
このゲームにも大好きなパロディを入れ込みまくった。ストーリー的なものも組み込んで、私なりの世界を作る事にどっぷりハマってしまった。
話は変わるが、脱出ゲームファンが集うサイトがある。ブラウザ脱出ゲームを紹介してくれるサイトで、コメント欄で攻略の質問をしたら誰かが答えてくれる。Flash時代に私もよく見てたが、令和の時代でも生き残っていたサイトがあったのだ。
たくさんの脱出ゲームファンが閲覧しているらしく、ここで紹介されるとゲームのアクセス数が急増する。ありがたいサイトだ。
話を戻すが、「懐かしい部屋からの脱出」もこのサイトで紹介された。そして何故かコメント欄がめちゃくちゃ盛り上がった。他の記事ではコメントが20もつけば多い方なのに150もついたのだ!謎解きが分かりにくかった所がいくつかあったようで、その質問とヒントでコメント数が伸びたようだ。
制作者に直接コメントするわけではないので辛辣な意見なんかもあったがとても参考になった。自分とプレイヤーの価値観のズレがどれくらいあるのかを認識できた。しかし、理不尽な謎に苦戦しながらもクリアしたいと思わせられるゲームを作れたのだと良い方に解釈している。
自作の絵だけで作った脱出ゲーム
これまでblenderで使うテクスチャのイラストを描くのに、ずっとスマホを使って指で描いていた。肩こりと眼精疲労がえげつないので、デジタルペンも使えるタブレットを購入した。ゲーム制作のための初めての機材投資だ。
せっかくなのでこれを使って絵を描いて脱出ゲームを作ってみた。ちなみに絵心は全くない。
イラストはスマホでもタブレットでもibisPaintを使用している。フリー素材が豊富で、絵心がなくてもそれらを利用する事で見栄えが良くなる。しかし人物に動きをつけるのは難しく、紙芝居的になってしまった。
下手な絵を誤魔化すのにホラーゲームにしたというのもあるが、ここで気づいた事がる。ホラーゲームは強いジャンルだという事である。
ホラーゲームはゲーム実況との相性が良いらしく、ホラーゲーム専門のYouTuberさんが個人開発のホラーゲームを開拓して実況してくれるのだ。「テレビの中からの脱出」もホラーゲームYouTuberさんが取り上げた事で広まった。
私はホラーゲームを遊ぶのは苦手だけど、作るのは好きだ。人を驚かせたりストーリーを組み込むのは得意な方なので、これからも時々ホラーゲームを作っていきたい。
ここにきてやっとシンプルな脱出ゲーム
私は脱出ゲームに関しては入門書などで勉強せずに自力で作ってきた。いくつか作っていると、流石に自分の書いたスクリプトが少しずつ洗練されていく。そして今までのやり方がとんでもなく非効率な事にやっと気づくのだ。
例えばクリックしたオブジェクトの取得方法。初期の頃はGameDirectorというスクリプトでクリックされたオブジェクト名を取得し、実装したいメソッドを書いたスクリプト側でフレーム毎にクリックオブジェクト名を参照しにいくというめちゃくちゃ負荷のかかる事をしていた。
今は、クリックされたオブジェクト自身が実装したいメソッドをOnClickで参照しにいくというスタイルに変えた。やっとオブジェクト思考が理解できた気がする(多分まだ理解できてないし、もっと良い方法があると思う)。
このやり方に変えた事で脱出ゲームの制作期間が大幅に短縮された。そして脱出ゲームを2週間で作ることができたのだ。
blender作業が1週間ちょいかかったので、Unityでの作業は1週間もかからなかった。シンプルだけどちょっと個性的でもあるので結構気に入っている。
ゲーム制作始めた頃から構想していたメゾン脱出シリーズ
私は昔、どうぶつの森ハッピーホームデザイナーというゲームにどっぷりハマり、そこでいろんな妄想をしながら部屋を作るという特技?を得たのだった。その特技を脱出ゲームにしたのが「メゾン脱出シリーズ」だ。
脱出ゲーム制作を始める前から、住人と部屋のアイデアはいくらでも出てきた。ざっくりとしたアイデアは腐るほど出るけど制作が追いつかなくて忘れてしまうほどだ(その時にメモすればいいのに)。
このシリーズ、実はスマホアプリでリリースするつもりで温めていた。しかし最近、AppleもGoogleも個人ゲーム開発者が参入するハードルがだんだん高くなっている気がするし、前に配信したゲームが意味もわからず突然公開停止されるなんて事もあるそうだ。とてもじゃないが私の性分には合わないと思い、この個人サイトを立ち上げここでゲームを公開する事に決めた。
サイトを立ち上げた当初は宣伝する場所もなく(Twitterでの私の認知度はミジンコなので)、Googleでエゴサしても出てこないくらい誰も遊びにこなかった。そこでunityroom様の力を借りる事にした。
このゲームをunityroomに投稿し、自分のサイトの広告を貼りまくった。その効果は抜群でサイトへのアクセスが急増し、メゾン脱出でも遊んでもらえたようだ。いずれマネタイズするつもりでいるが、面白い脱出ゲームをたくさん投稿し続けて10年後くらいに小遣い稼ぎくらいになればいいかなと思っている。
今もメゾン脱出シリーズ2作目を制作中だが、最近少しモチベが下がってきていた。この記事を書きながら、以前の私は気合いで完成させる無謀なチャレンジャーだったことを思い出してやる気を取り戻せた。またモチベが下がった時にこの記事を読もうと思う。
もしここまで読んでくれた方がいたとしたらありがとうございました。
wanco